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株本 裕史; 中川 創平; 松田 誠
JAEA-Conf 2022-002, 146 Pages, 2023/03
第34回「タンデム加速器及びその周辺技術の研究会」は、令和4(2022)年7月21日(木)22日(金)の2日間に亘り日本原子力研究開発機構原子力科学研究所により開催された。新型コロナウイルスの感染拡大防止の対応からオンライン形式とした。本研究会は、タンデム加速器を中心とした静電加速器施設を運営あるいは利用する研究者・技術者の現場レベルからの話題提供を通じて、参加者相互の情報交換を図り、関連研究の発展や施設管理に資することを目的として行われている。本研究会へは26の大学、研究機関および産業界から約100名の関係者が参加した。発表件数は25件で、各施設の現状報告や加速器の技術開発、応用研究等について報告が行われた。また、今回はオンライン開催のためにポスター発表は行わず、口頭発表のみとした。本報告集は、これらの発表内容をまとめたものである。
株本 裕史; 松田 誠; 中村 暢彦; 石崎 暢洋; 沓掛 健一; 乙川 義憲; 遊津 拓洋; 松井 泰; 中川 創平; 阿部 信市
Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.1109 - 1113, 2023/01
原子力機構-東海タンデム加速器施設は最高運転電圧が約18MVの大型静電加速器で、重イオンビーム等を用いた核物理,核化学,原子物理,材料照射などの各分野で利用されている。本発表では、2021年度における加速器の運転・整備状況およびビーム利用開発等について報告する。当施設では近年、運転中の放電が頻発するため、加速電圧を約15MVと以前よりも低く抑えている。これは加速電圧に対する絶縁性能が必要な機器類(セラミック製加速管や発電機駆動用アクリルシャフト等)が経年劣化してきているためと思われる。2021年度には低エネルギー側加速管7本(3.5MV相当)とアクリルシャフト2本の交換作業を行い、絶縁性能の回復を図った。2020年度にも同様の交換作業を行っており、全体的に経年劣化が進んでいると思われることから、今後は抜本的な対策を検討する必要があると考えている。また、当施設では、現在の施設のアップグレードを行い、後継となる加速器を導入する計画の立案を行っている。超伝導加速器の技術を使用し、高エネルギー・高強度の重イオンビーム等を発生させるものであり、こちらの概要についても併せて報告する。
仁井 啓介*; 井田 義明*; 上田 英貴*; 山口 隆宣*; 株本 裕史; 神谷 潤一郎; 近藤 恭弘; 田村 潤; 原田 寛之; 松井 泰; et al.
Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.601 - 604, 2023/01
マルイ鍍金工業では、日本原子力研究開発機構(JAEA)と共同で東海タンデム加速器後段の超伝導ブースター用1/4波長型超伝導空洞(QWR)について再表面処理の検討を行っている。この空洞はニオブ-銅のクラッド板で製作されており、底部に大きな開口があるため、再度の電解研磨処理等が可能な構造になっている。再表面処理では、内面ニオブに電解研磨(EP)を施工して表面粗さを小さくし、高い加速電界(5MV/m以上)を発生できるようにすることを目標としている。2020年度には、マルイ鍍金工業がニオブ9セル空洞EPの経験で得た各種パラメータとJAEA所有の電極、治具等を組み合わせて、予備の空洞に対してEPを施工した。しかし、EP後のニオブ表面は光沢が増すものの表面粗さが良好な状態とはならず、加速電界もEP前よりは改善したが、目標値には達していなかった。2021年度には空洞のニオブ表面粗さと加速電界の改善を目指して、EPのパラメータ(電極面積,電圧,流量と揺動)を変えての実験を行い、設備,条件,表面粗さ等の評価を行った。また、今回はこれまでに観察してこなかった中心導体のドリフトチューブ部内面などについても広く観察を行ったので、そちらの結果も併せて報告する。
松田 誠; 田山 豪一; 石崎 暢洋; 株本 裕史; 中村 暢彦; 沓掛 健一; 乙川 義憲; 遊津 拓洋; 松井 泰; 阿部 信市
Proceedings of 18th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.394 - 398, 2021/10
原子力機構-東海タンデム加速器は最高加速電圧が約18MVの大型静電加速器であり、核物理,核化学,原子物理,材料照射などの分野に利用されている。昨年度の利用運転日数は112日であり、主として核物理実験に利用された。最高加速電圧は15.4MVであった。4/205/7の期間は新型コロナウィルスの感染拡大防止のための出勤自粛により運転を休止した。その後、希少なRI標的であるEs試料を用いた実験が計画されていたため、所内研究者のみの条件で運転を再開し、制限解除と共に通常運転へと移行した。2020年度も2019年度に引き続きSF高圧ガス施設の液化貯槽の開放検査実施のため約3ヵ月を施設検査に充てることになり、その間運転を停止した。また、発電用回転シャフトの絶縁破壊などにより性能が劣化した低エネルギー側の加速管16本(8MV相当)を予備品と交換する作業も実施したため7月から12月までの長期の定期整備間となった。発表では加速器の運転・整備状況およびビーム利用開発等について報告する。
松田 誠; 石崎 暢洋; 田山 豪一; 株本 裕史; 中村 暢彦; 沓掛 健一; 乙川 義憲; 遊津 拓洋; 松井 泰; 阿部 信市; et al.
Proceedings of 17th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.948 - 952, 2020/09
原子力機構-東海タンデム加速器は最高加速電圧が約18MVの大型静電加速器であり、核物理,核化学,原子物理,材料照射などの分野に利用されている。2019年度の利用運転日数は118日であり、主として核物理実験に利用された。最高加速電圧は16.2MVであった。加速電圧が上がらない原因は、高電圧端子内の発電機を駆動するための絶縁シャフトが放電により放電痕ができ破損するなど絶縁性能が劣化したためであった。2019年度はSF高圧ガス施設において貯槽の開放検査実施のため7月から約3ヵ月をの施設検査に充てることになり、7月から5か月の長期の運転停止(定期整備)となった。2020年度も同様の検査のため長期の整備となる予定である。発表では加速器の運転・整備状況およびビーム利用開発等について報告する。
松田 誠; 長 明彦; 石崎 暢洋; 田山 豪一; 株本 裕史; 中村 暢彦; 沓掛 健一; 乙川 義憲; 遊津 拓洋; 松井 泰; et al.
Proceedings of 16th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.1270 - 1273, 2019/07
原子力機構-東海タンデム加速器は最高加速電圧が約18MVの大型静電加速器であり、核物理,核化学,原子物理,材料照射などの分野に利用されている。平成30年度の利用運転日数は138日であり、主として核物理実験に利用された。最高加速電圧は16.5MVであった。新たにタンデム加速器の入射ビームラインにビームアッテネータを設置し、ビーム電流の制御を容易にし、かつ荷電変換フォイルの消耗を最小化できるようにした。主な整備事項として、約7万時間使用したペレットチェーンおよび、約9年使用した高電圧端子内発電機の駆動モーターの交換を行った。最近のビーム電流の増強によりビームプロファイルモニターのワイヤーがビームで溶断するトラブルが2件発生した。その他建家の酸欠モニタの電源故障が発生した。発表では加速器の運転・整備状況およびビーム利用開発等について報告する。
株本 裕史; 長 明彦; 石崎 暢洋; 田山 豪一; 松田 誠; 仲野谷 孝充; 中村 暢彦; 沓掛 健一; 乙川 義憲; 遊津 拓洋
Proceedings of 14th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.1404 - 1408, 2017/12
原子力機構-東海タンデム加速器施設は最高運転電圧が約18MVの大型静電加速器で、核物理,核化学,原子物理,材料照射などの各分野に利用されている。当施設では2015年度中に起きた運転中の放電等により一部の加速管に不調が生じたため、しばらく加速電圧を低く抑えて運転を継続していたが、2016年度に加速管8本の交換作業を実施し、加速電圧は約17MVまで回復した。しかし、12月に起きた真空トラブルのため、再び加速管に不調が発生し、加速電圧を低く抑えての運転を余儀なくされた。現在、加速管を全て分解し、クリーニング等による電圧性能の回復を図っている。本発表では加速器の運転・整備状況およびビーム利用開発等について報告する。
松田 誠; 長 明彦; 阿部 信市; 石崎 暢洋; 田山 豪一; 仲野谷 孝充; 株本 裕史; 中村 暢彦; 沓掛 健一; 乙川 義憲; et al.
Proceedings of 12th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.357 - 360, 2015/09
原子力機構-東海タンデム加速器施設における2014年度の加速器の運転・開発状況およびビーム利用開発について報告する。2014年度の加速器の運転日数は156日であり、最高運転電圧は18MVで8日間の利用があった。利用されたイオン種は15元素(19核種)である。高電圧端子内イオン源からのビーム利用は30%であり、原子あたり3.5MeVのエネルギーでC分子イオンの利用があった。近年、需要の増えた非密封RIや核燃料を標的とした実験に対応するため、これらの標的を扱える照射室(第2照射室)を新たに整備した。2014年11月にビーム試験を実施し、2015年2月より実験利用が開始された。現在RI標的の利用が可能であり、今後、核燃料標的に拡大する予定である。東海タンデム加速器では高電圧端子内機器への電力供給のために地上電位にある40HPおよび30HPのモーター出力を動力伝達用アクリルシャフトを介して端子内の10kVAおよび15kVAの発電機を駆動している。このシャフトの軸受マウント部を改良しベアリング寿命を大幅に伸ばすことに成功した。大型静電加速器としての特徴を活かすべくビーム開発を実施しているところである。
石坂 知久
Proceedings of 11th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.372 - 375, 2014/10
原子力機構のイオン照射研究施設TIARAは、AVFサイクロトロン(K110)と3基の静電加速器(3MVタンデム加速器、3MVシングルエンド加速器、400kVイオン注入装置)を有し、材料科学及びバイオ技術の研究開発を中心にイオンビームを提供している。本発表では2013年度の運転状況、保守・整備及び技術開発の概要を報告する。TIARAの加速器は順調に運転し、特に静電加速器では加速器故障による実験中止は無く3基とも稼働率100%を達成した。保守整備では通年の定期整備の他、平成24年度補正予算により放射線モニタ、ロータリシャッター、PLC機器、SFガス回収装置等を更新した。技術開発においては、サイクロトロンでは高範囲のアクセプタンスを計測するための手法、プラスチックシンチレーターを用いたビーム位相分布測定システムの開発、大面積均一イオンビーム形成のための手法。静電加速器ではスパッターイオン源を用いたC負イオンの生成、タンデム加速器におけるCクラスターイオンの輸送効率の向上について報告する。
千葉 敦也; 宇野 定則; 大越 清紀; 山田 圭介; 齋藤 勇一; 石井 保行; 酒井 卓郎; 佐藤 隆博; 水橋 清
JAEA-Review 2005-001, TIARA Annual Report 2004, p.358 - 360, 2006/01
日本原子力研究所高崎放射線高度利用センターにある、シングルエンド加速器, タンデム加速器, イオン注入装置の3台の静電加速器における16年度のイオンビーム照射技術開発について報告する。イオン注入装置のビーム制御技術として、メッシュ状の透過型ビーム電流モニタとワイヤー型可変減衰器を組合せることで、ビーム電流を数%の変動幅で安定に供給できるシステムを確立した。また、イオン生成技術として、金属イオン等の材料への注入深さの制御範囲を拡大させるため、注入装置に搭載された小型ECRイオン源を用いて金属多価イオン生成を行っている。シングルエンドでは、マイクロビームにおいて、PCからの制御であらかじめ設定した領域に、指定した時間だけ走査照射をするシステムの開発を行った。さらに、加速器の電圧安定化に伴う、高精度な電圧安定度の測定技術として、共鳴幅(50eV)の極めて小さな核反応によるビームエネルギー幅の測定システムを確立した。
宇野 定則; 高山 輝充*; 江夏 昌志*; 水橋 清
第18回タンデム加速器及びその周辺技術の研究会報告集, p.133 - 136, 2005/11
原研高崎の3MVシングルエンド加速器は設置当初からの懸案として、加速器本体内の構成部品の耐電圧不足があった。これが原因でタンク内放電や部品の損傷が起こり、最大定格電圧である3MVを長時間安定に保つことは困難だった。そこで、特に損傷しやすい部品であった加速電圧検出抵抗は無誘導型への改良を行い、また次に損傷の著しかった加速部アクリル板の交換及び電位固定の補強、並びにアルミ製のカラム電極支持具への変更などの改造を行った結果、3MVでの定常運転が可能となった。また、制御機器の増設に柔軟対応でき、かつ安定した運転ができるように、制御系の計算機とソフトウェアの更新を実施した。
横田 渉
企業サポートぐんま, P. 12, 2004/06
イオンビームの利用を理解するために必要な基礎知識として、イオンとは何か、イオンを加速する理由、及びサイクロトロンと静電加速器におけるイオンの加速方法を分かり易く解説する。また、TIARAのイオン加速器群とその利用状況の概略を紹介する。
大越 清紀; 高田 功; 水橋 清; 宇野 定則; 千葉 敦也; 齋藤 勇一; 石井 保行; 酒井 卓郎; 田島 訓
第16回タンデム加速器及びその周辺技術の研究会報告集, p.36 - 39, 2004/02
TIARA静電加速器施設の3台の加速器の平成14年度における運転時間は、3MVタンデム加速器,3MVシングルエンド加速器及び400kVイオン注入装置について、それぞれ2,066時間,2,475時間及び1,839時間であり、トリプル照射等の複合利用,マイクロビーム照射等の放射線高度利用研究に使用された。タンデム加速器では加速電圧の安定性向上のため、ペレットチェーンモータ回路にインバータを取付ける等の対策を行った。また、イオン注入装置ではフラーレンイオン(C60)の生成・加速試験を行い、350keVで約2A生成することに成功した。本研究会では、各加速器の平成14年度における運転,整備及び利用状況について報告する。
酒井 卓郎; 水橋 清; 宇野 定則
第16回タンデム加速器及びその周辺技術の研究会報告集, p.80 - 83, 2004/02
静電加速器の運転においては、ターミナル電圧の偏差など各種のアナログ信号のモニターを行いながら、加速器が安定な動作条件になるように最適な調整を行う必要がある。しかしながら、通常用いられているオシロスコープ等によるアナログ信号の波形観測では、定量的な値は得られず、また経時的な変化を知ることは困難である。そこで、パーソナルコンピューター(PC)とアナログ-デジタル変換器(ADC)をもとにしたリアルタイム信号計測システムの開発を行った。ADCは、100kHz,1秒間のサンプリング周期・間隔でアナログ信号を12bitのデジタル値に変換し、その値をPCに取り込み、各種演算処理を行う。PCの画面上には、入力信号波形,FFTによるスペクトル解析,偏差の度数分布をリアルタイムで表示,測定データの平均化やレコーダー機能も持つ。また、測定したデータはテキスト形式で保存でき、市販の表計算ソフトウエアなどで取り扱うことができる。このシステムの導入により、各運転条件における電圧変動などの不安定性を定量的に解析することができ、より安定な加速器の運転業務を行うことが可能になる。
宇野 定則; 田島 訓; 高田 功; 高山 輝充*; 江夏 昌志*; 森谷 義則*; 海老名 哲也*
第16回タンデム加速器及びその周辺技術の研究会報告集, p.75 - 79, 2004/02
原研高崎の3MVシングエンド加速器は、加速電圧を220個の抵抗により分圧して検出を行い、加速電圧制御装置のフィードバック信号に用いている。この抵抗は、温度係数が50ppm/Cの精密抵抗であり、この加速器で安定した高電圧を発生させるための重要な部品の一つである。しかしながら、この抵抗は加速電圧を2.8MV以上に昇圧した際に起こる加速器本体内の放電により、抵抗値の劣化が幾度も見られた。そして、抵抗値の劣化が一度発生すると、抵抗の耐電圧も奪われてしまうため、最大加速電圧の低下や電圧不安定の要因となり、加速器の実験利用を中止することに繋がってしまった。そのため、加速電圧検出抵抗の放電に対する耐久性を向上させるために改良を重ねた結果、無誘導型抵抗により劣化は全く確認できなくなり耐放電性が著しく向上した。
千葉 敦也; 石井 保行; 田島 訓
第15回タンデム加速器及びその周辺技術の研究会報告集, p.74 - 76, 2003/03
本研究では静電加速器に搭載されるイオン源のエミッタンスを簡単に短時間で測定できる装置の開発を目指す。一般的なエミッタンスの測定では、スリットを用いてピンホール状の孔を作り、この孔をビームに対して縦断するようにわずかずつ機械的に移動させ、スリット後方に配置した検出器により、この孔の位置とビームの発散角度を測定する。この方法ではスリットの細かな移動が必要とされ測定に時間がかかる。発生ビームは絶えず微妙に変化しているため正確なエミッタンスは得にくい。そこで図に示すように今回開発する装置では、多連スリット通過後のビームを発光体に入射し、縞状に発光した像をCCDカメラで画像化したものをパーソナルコンピュータ(PC)上に取り込み、この画像を数値解析することでエミッタンスを見積もる。取り込む画像に像を加えることで発散角の制度を増すことも可能である。この方法の場合、一般的な装置のようなスリットを移動させながらの測定を必要とせず、x軸及びy軸の各一組の多連スリット像でエミッタンスを評価するので、短時間にデータ(画像)を収集でき、ビーム電流の時間的変動を考慮する必要がない。
水橋 清; 宇野 定則; 大越 清紀; 千葉 敦也; 齋藤 勇一; 石井 保行; 酒井 卓郎; 神谷 富裕; 高田 功; 田島 訓
第15回タンデム加速器及びその周辺技術の研究会報告集, p.33 - 35, 2003/03
TIARA静電加速器施設の3台の加速器の平成13年度における運転時間は、3MVタンデム加速器,3MVシングルエンド加速器,400kVイオン注入装置について、それぞれ2036時間,2419時間,1859時間であり、トリプル照射等の複合照射利用,マイクロビーム照射等の放射線高度利用研究に使用された。なお、今期、タンデム加速器に既設のイオン源に加え重イオン源が1台増設された。研究会では、各加速器の平成13年度における、運転,整備の状況等について報告する。
松田 誠; 藤井 義雄*; 竹内 末広; 吉田 忠
第15回タンデム加速器及びその周辺技術の研究会報告集, p.62 - 64, 2003/03
原研タンデム加速器では得られるビームのエネルギー,強度,イオン種の拡大を目的に高電圧端子内にECRイオン源を設置する計画を進めてきた。第1段階では基本的な技術の取得及び機器の開発のため、加速器本体に大きく手を加えることなく設置が可能な小型の永久磁石型ECRイオン源(RF周波数10GHz、出力200W)を搭載した。主に水素,酸素及び希ガスイオンの加速に利用され、利用実績も上がってきている。しかし現在のイオン源は性能的にはまだ十分ではないので、計画の第2段階として、より高性能なイオン源を設置する計画を進めている。イオン源には14.5GHz,200Wの永久磁石型ECRイオン源(SUPERNANOGAN)を採用する。このイオン源はかなり大きなものであるため、現在のイオン源位置には設置せず、ガスストリッパー装置を撤去しそこにTECRIS用の入射90度電磁石を配置しイオン源を接続する。この配置だと180度電磁石をビームの分析電磁石として使用することができるため、現在より広範な電荷領域にわたってイオンを選択することが可能となる。これによりSUPERNANOGANからの加速が実現すれば現在の加速器の性能を凌駕し、高質量のイオンについては引き出されるイオンの電荷が倍増、つまりエネルギーの倍増が期待できる。
松田 誠; 竹内 末広; 吉田 忠; 花島 進; 藤井 義雄*
第14回加速器科学研究発表会報告集, p.170 - 172, 2003/00
原研タンデム加速器では得られるビームのエネルギー,強度,イオン種の拡大を目的に高電圧端子内にECRイオン源を設置している。計画の第1段階で、基本的な技術の取得及び機器の開発のため、加速器本体に大きく手を加えることなく搭載することが可能な小型のイオン源を設置した。現在、高電圧端子内ECRイオン源により、ヘリウムを除く希ガス及び水素,窒素,酸素の加速が行われている。今回は計画の第2段階として14.5GHz, 200Wの永久磁石型ECRイオン源を設置する予定である。これによりさらに高多荷イオンの生成が可能となりビームエネルギー・強度ともに現状以上に増強することができる。これまでに試験台にてビーム生成試験及び動作特性の測定を行った。また特殊な環境下である端子内に設置される機器に対する新たな制御方式の開発を行っている。
海洋調査研究室
JAERI-Conf 2000-019, 127 Pages, 2001/02
第13回「タンデム加速器及びその周辺技術の研究会」は、平成12年6月8~9日の2日間に渡り、原研むつ事業所海洋調査室の主催によりむつ市において開催された。タンデム加速器または静電加速器を有する大学,研究所等の27機関から約60名が参加した。研究会は、タンデム加速器または静電加速器施設を対象に、現場サイドからの研究発表や話題提供を通じて、参加者相互の情報交換を図り、関連研究の発展に資することであり、AMS施設の現状、タンデム加速器・静電加速器施設の現状と研究概要,AMS応用研究,加速器にかかわる測定制御技術・応用研究について31件の講演と質疑応答が行われた。本稿は、本研究会で発表された講演の報告集である。